令和5年度 事業計画
1 基本方針
昨年2月24日に始まった世界を震撼させたロシアによるウクライナ侵攻は、世界の分断を広げエネルギー価格高騰と需給逼迫を招くなど、エネルギー供給体制をかく乱するとともに、エネルギー問題に止まらず世界各国に安全保障上の厳しい難題を突き付けております。
我が国は、エネルギー資源のほとんどを海外に依存し、エネルギー自給率は11.3%とOECD(経済協力開発機構)の中でも38ヶ国中37位と極めて低い水準であり、原油高に加えて限りある資源をめぐる世界的な資源獲得競争の影響を受けエネルギー安全保障を考える上で大変厳しい環境にあるとの認識を持たなければなりません。
また、大規模な自然災害が増加する気候変動問題への具体的な取り組みも大きな課題となっています。
このような状況の中、昨年12月には、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた会議で、日本のエネルギー安定供給の再構築とカーボンニュートラルを実現する方策について、重要な基本方針が示され、本年2月に閣議決定されました。
その主な内容は、再生可能エネルギーの主力電源化とエネルギー基本計画を踏まえ安全を最優先に原子力を活用していくことであります。原子力の活用にあたっては、安全性を優先し、安全審査に合格し、地元の理解を得た原子力発電所の再稼働を進めるとともに、安全性向上を目指し、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組み、併せて、再処理・廃炉・最終処分などのバックエンドを含む原子力活用に必要な制度を整備していくことが示されました。
我が国は、周囲を海に囲まれ、すぐに使える資源に乏しく、自然エネルギーを活用する条件も諸外国と異なるなど、エネルギー供給の脆弱性を抱えております。このためエネルギーの安定確保を図り、2050年カーボンニュートラルを達成するには、安全を前提に「安定的に」・「経済的に」・「環境に優しく」のS+3Eの視点を踏まえ、再生可能エネルギーや火力・原子力など多様なエネルギーの特性を活かした「最適なエネルギーミックス」を実現することが、重要であると考えます。また、このことを県民のみなさまにしっかりとご理解していただくことが必要であります。
そこで、令和5年度は、引き続き、講演会、E&Eサロン、見学会およびE&Eフォーラム、会員向け見学会を継続して実施するとともに、Webサイトなどによる情報発信に取り組み、エネルギー・環境問題について、一人でも多くの県民のみなさまに「聴いて」「見て」「感じて」いただき、「自らの問題として捉え、考え、行動していただく人の輪」の拡大に繋がる活動を実施していきます。
また、事業の実施にあたっては、講演会などは参加しやすいように、オンラインシステムなどを活用してまいります。
2 活動計画
(1)啓発活動
ア 会員に対する啓発活動
①講演会、E&Eサロンの開催
②エネルギーや環境関連施設見学会の開催
③E&Eフォーラムの開催
④メディアへの広告出稿
⑤会報誌の発行(年1回)
⑥ホームページによる情報発信・提供
イ 県民に対する啓発活動
①講演会の開催
②エネルギーや環境関連施設の公募見学会の開催
③ラジオによる情報発信
④メディアへの広告出稿
⑤各種団体の大会誌等への広告出稿
⑥ホームページによる情報提供
⑦会員の拡大
(2)要望活動および項目
ア 三重県、三重県議会
①エネルギーや環境問題への理解に資する情報発信と諸施策の推進
②省エネルギー推進や節電の促進に向けた県民的活動の展開と環境整備
③次世代層に対するエネルギーや環境教育の積極的な推進
④脱炭素社会の実現や地球温暖化問題の解決に向けた諸施策の積極的な推進
イ 経済産業省 中部経済産業局
①我が国の持続的発展につながるエネルギー施策への理解活動の推進
②安全性、安定供給、経済性、環境適合性を確保したエネルギーミックスの実現
に向けた諸施策の確実な実施
③脱炭素社会の実現や地球温暖化問題の解決に向けた諸施策の積極的な推進
ウ 県内市町の首長と議長、経済界を始めとする関係諸団体に側面的支援を依頼。
(3)各種団体との連携強化
上記の啓発活動をより効果的なものにするため、経済界を始めとする関係諸団体と連携した活動を積極的に展開する。
以 上